修羅場は近くにある。

私は会社員をしてるのだが、大学を卒業するとき、博士論文の副査だったH准教授という人がいた。

卒業の前に論文を提出しに、H先生の研究室に行ったときのこと、

H先生「ああ、あの会社に行くのか。実は私もあそこの関係会社にいてねー。結局やめたけどね。…(間)… 頑張ってね」
そのとき、間があった。当時は、縁は異なものだなー、とか思っただけだった。


さて私は、当時H先生の先輩だった、関係会社の部長と共同で仕事をしている。今日酒を片手に彼のことを尋ねてみた。

部長「ああ、H君ねー。当時は大変な部署でね。ひどい上司がいて、僕以外全員やめたところに入ってきたのがH君でね。
H君もやめたけど、そのとき『私がこの会社をやめる理由』という文書を作って、上司以下みんなをけちょんけちょんに書いて、社長以下関係者に発信して辞めていったんだよ。壮絶な内容だったなぁ」

私「ブログの人気エントリみたいですね…しかしそれを社長に送るのはすごいですね…」

部長「実は僕も、そのあとその上司と刺し違えて一回辞めたんだよ。上司は機密データを持ちだして結局懲戒解雇になったんだけど。
僕はそれから1歳と3歳の子供を連れて転職したんだよ、アマゾンにねぇ」

私「アマゾンって、Amazonですか!?」

部長「いや違う違う、南米のアマゾン川でピラニアとか熱帯魚とかの漁を5年くらいやってた

私「リアルアマゾン!! …で、その上司はどうしたんですか?」

部長「ライバル会社に入ったんだけど、図書室に引きこもりになったあとそこも辞めてね。そのあとサムスンに引きぬかれたんだよ」

私「ほぅ、サムスンに」

部長「で、高給で雇われて、ポイされて、アル中が悪化して死んだ!」

私「…(絶句)」


そんなことがあった後この会社に戻ってきたこの部長もすごいけれど、H先生の言葉の(間)にはそんな過去の記憶が、万感の思いが駆け巡っていたのか。
私に「頑張ってね」と言ったH准教授の心中やいかに。


そしてそんな会社にいる私の運命やいかに。