新型コペン

我が家のタントの一ヶ月点検をしにダイハツのディーラーに行ったら、新型コペンがいた。軽オープンカー、素敵である。
試乗車だというので、点検してる間に運転させてもらうことにした。


私はコペンは持ってないが、結構コペン好きである。
結婚式の数日前の朝に、妻に「昨晩、あなたが結婚資金をつぎ込んでコペンを買ってきた夢を見た」と言われたほどに、コペンを買いそうな人だったのである。この物欲に関する信用のなさね。困ったね。


さて、久々のコペン、わくわくして屋根を開ける。雨だけど。
なんだか、少し車内広くなっただろうか。先代モデルほど、ダッシュボードが迫ってくる感じがしない。トランクの狭さは今までどおりか、今まで以下だが。もはや屋根の隙間から荷物を滑りこませるしかない感じ。


さっそく、アップダウンを含む幹線道路や裏道を運転してみる。
今回のはマニュアルモードがついてるCVTモデルで、こちらはエコカーなので免税とのこと。
ちなみに、5速マニュアルモデルは免税にならない上に、5万円くらい高いらしい。普通に考えたらオートマが付加価値だよねぇ。でも、もはや今はマニュアルシフトを自分で操ることが付加価値になってる時代なのだな。

出発してアクセルを踏むと、「すっ」と前に車が出る。これはライトウェイトスポーツカーの感覚だ。先代の4気筒と違って、新型はタントの3気筒エンジンにターボをつけたものだけれど、車体が軽いことと、低速トルクがあることがわかる。なにしろここまでタントに乗ってきた私が言うのだから。
そして、以前のコペンはこんなに出足は早くなかった。タービンが回り始めるまでは、オートマモデルはなんとも頼りないトルクで走り始めていたはず。


走り始めると、スムーズに加速していく。でも……別に面白くない! タントのCVTと何も変わらない。音も、感触も。まぁ、加速度は段違いではあるけれど、なんかね、模範解答に近づいてきちゃった感じ。60km/hまで割とすぐ行くんだけれど、テンションが上がらない。

ディーラー曰く、「マニュアルモードがありますよー」というので、試しに入れてみる。
すると、なんか1速から7速まである。7速!? コペンが? 

…しかしこれもまたCVTのギア比をただ7つに切ってるだけで(当たり前ですが)、ギアを落としたからブリッピングするわけでもないし、別に面白くない! 絶対9割の人は「D」に入れっぱなしで使うと思うね。マニュアルで運転したい人はマニュアルモデルを買うよな。


そして、信号で止まるとエコアイドルでしっかりアイドリングストップ。やー。環境にも優しくなってしまったね。ここまでタントと同じか。これもまた、模範解答なんだろうけれど、個人的にはスポーツカーがアイドリングストップしてるのって、マニュアルの変速をミスってエンストしてるようにしか見えないんだよなぁ。個人的な意見ですけども…


というわけで、モヤモヤしながらディーラーに帰ってきた。
なんだろう、運転しやすくなって、先代の問題点が解消されて、ますます通勤快速セカンドカーに最適で経済的なよいスポーツカーになった、のですね。客観的に言うと。開発者は先代の欠点を洗い出して、ちゃんと直したんだよね。ファンから言うと、「角がとれてしまって、コペンらしい楽しみがわからなくなってしまった」ということにもなってしまうんだけど、真面目にいい車を作った人の気持ちも考えると…なんとも難しい。


最後にディーラー曰く、「樹脂パネルなので、先代みたいにスポイラーとかはつけにくいですねぇ。そのうち出てくるかもしれませんけれど…。あとサイクルキャリアとか付ける人はいないと思いますけど、強度的に厳しいです。」

友人で、コペンにサイクルキャリアを積載する変な人は1人だけ知ってるのだが、どうやら強度的に厳しいらしい。



点検を済ませて、タントに妻と子供を載せて帰りの国道を走り出すと、さっきのコペンとだいたい同じ3気筒の音がした。なんだか切ない。