絶景 大台ヶ原(2)

登山道は自然保護のため入山禁止のところと、2004年の台風で壊滅したところを除くと、一番ポピュラーな大台ヶ原のコースしか選べないようだ。その中で一番時間と距離のある、大回りのコースを選択して出発した。最初は明るい森の中の道。後ろから軽装で来た同い年ぐらいの女性2人組がすごいスピードで追い越していく。というか一人はリュックですらないのね。ルージュが真っ赤で化粧もばっちり。でも会話内容は明らかに数々の山岳を踏破してきた人のものだった。

途中の階段で標高を上げたあたりから大台ヶ原は「らしさ」を増してくる。白く枯死した木がそそり立ち、あるものは倒れ。背の低いクマザサの中を登る。あたりがいっそう荒涼としてきた頃、最初の目的地、日出(ひで)ヶ岳に着く。標高1695m, 今日は晴れて良かった。他の人が撮った写真をみると、ここが幽世(かくりよ)と言われても信じてしまいそうな霧の中に、枯れた木がそびえ立っていたりするのだが。ま、今日みたいにピーカンでも風情は出ないのかもしれない。ないものねだりだ。

いったん下り、また少し登ると正木峠。この先はすごい。木々の墓場の中を木道が通っているような異様な空間。高低差もあって、周りの山も少し下に見える。(つづく)