四国冒険ツアー(その1)

週末、高校の同輩であるYukikaze氏がはるばる、静岡県から愛媛まで遊びに来てくれた。二日間、はからずも冒険旅行になったわけだが(←いつものことですが)、そのときのことを書いておこう。


一日目はドライブであった。ご存じの通り、ここ松山の地はだいぶ西国。大概の人は飛行機で松山空港へ来る。しかしYukikaze氏はロマンを解する男、わざわざサンライズ瀬戸に浜松から乗車して四国までやってきた。東京を夕方に出るこの寝台列車、浜松を出発するのは深夜1:12である。その時間まで寒風の中待ち続ける、その情熱を私は最近忘れかけていたよ。(^^;;


さて、迎えに行く私は松山市駅を通るのだが、ちょうど市電のスペシャル列車である「坊ちゃん列車」の転回作業をやっていた。ディーゼル機関のミニSL(もどき)が客車を牽引しているのだが、松山市駅は行き止まり。転車台もなしにどうやってSL(もどき)が転回するのかと思っていると、なんと機関車の車高がシリンダーで上昇! 車高調ダンパーかい。足回りから持ち上がった上の部分を、運転士がぐるっと押して180度回してしまった。呆気にとられていると、他の職員が二人がかりで、客車を一生懸命押してきて連結した。手で押すんだ…すげぇ。




さて、Yukikaze氏は多少疲れた顔で改札を出てきたが、まぁそれは↑のような経緯でロマンに身を捧げてしまったので仕方ないのである。駅前でレンタカーを借り、今日は愛媛・高知県境にある「四国カルスト」というあたりを目指す。山口県カルスト台地のように、ダイナミックな光景が広がる山岳地帯らしい。この旅行の数週間前、レンタカーを手配するにあたって、ちょっと悪い予感がした私はスタッドレスタイヤのオプションをつけておいた。四国とはいえ山をなめてはいけない。その悪い予感は現実のものとなった…


車は三菱ランサー。エボリューションではありません。紅葉、というか茶色に染まった砥部の山を越え、道は高知県境へと標高を上げていく。すれ違う車に雪が乗っている。こ、これは…と思っていると路肩に雪が増えていく。畑も家の屋根も雪化粧。
「いやー、スタッドレス履いてきてよかったね。大した雪じゃないけど、安全が一番だね」
と話しながら、左ウインカーを出して国道から四国カルストへ分岐。長いトンネルを抜けるとその先は。


な、なんじゃこれはー(笑) 雪化粧が、大した雪じゃない、とかさっきまで言ってたが、そんなレベルではない。これは雪国だ。わだちにタイヤを取られるわ、カーブで曲がりにくいわ、スタッドレスでも怖くて30km/hぐらいしか出せない。思わず一旦車を停めて、外に出てみた。これはすごい。しかも若干吹雪いている。チキンな私は運転を代わってもらった。

さて、道はどんどん細くなり、やがて雪が路肩を狭めているせいもあって完全に一車線になってしまった。窓の外は水墨画のようなモノクロの世界。


そして旅路は唐突に終わった。ゲートが閉まっている。
この先7kmで四国カルスト、だがゲートの先は雪で埋まっており、どうにもならない。


いちおう言い訳しておきたいのだが、積雪や通行止情報は事前に調べておいて、大丈夫らしいということでやってきたのだ。我々はずっと前から雪が積もっていたところに突撃してきたわけじゃなくて、雪は昨日、つまり金曜日の夜から今朝にかけて降り積もったものなのである。


仕方ないので、ゲートの前で_| ̄|○のポーズを取って記念撮影し(お約束)、そこで車を停めて、雪の中Yukikaze氏が買ってきてくれたチーズケーキを食べる。浜松の名物だそうな。彼はキンキンに冷えたチーズケーキを保冷剤と一緒にクーラーバッグに入れて持ってきたので、それはもう冷たかった。外気が氷点下のところで寒いものを食べてとっても冷えたのだった。とてもおいしかったけどね。


しかも出発しようとしたらすでに車は雪に埋まりかけていて、車内から何も見えない。凍った山道を細心の注意で下り、車は高知県を目指した。下っている最中に助手席の私はナビを見ていたのだが、そこに出てくる地名が、
「夜鳴川」
天狗高原
「水なし山」
なんかRPGの修行で人外魔境に来てしまったような地名が続く。くねくねと続く雪の一本道。一人だったら心細かったかもしれない。


さて峠を越えて高知に入ると、雪は一瞬で消えて青空が広がった。山を越えただけなのに、気象の違いにはびっくりだ。そこから昼飯ポイントを探して走り続けたのだが、結局高知市に入るまで60kmぐらいの間にはラーメン屋ぐらいしかなかった。



高知では「ひろめ市場」へ。露店がたくさんあるところで、好きなものを注文して飲み食いするところのようだ。カツオのたたきとウツボ(!)のたたきを頼む。にんにくを添えて、塩味で食べるのが最高。醤油より塩が好き。

(続く)