四国冒険ツアー(その2)

(前回から続く)

腹を満たしたあとは、街へ戻る前にもう一箇所行こうということに。高知から北西へ行った「龍河洞」という鍾乳洞が有名らしく、それはもう穴とか大好きですぐ入ろうとする我々としては、よろこんで向かったわけである(前回Yukikaze氏といったのも奈良の鍾乳洞だったんだよな…)。しかし、残念ながら閉まる時刻に間に合わず、途中の山道から夕焼けの高知市と太平洋を望むことしかできなかった。



そこで、目的地を変更。向かうは秘境駅「新改(しんがい)」である。ここは、土讃線が高知から阿波池田へと抜ける途中の峠越えで、スイッチバックするために設けられた駅。乗降も出来るが、それはもう超絶山の中にあるため、人里から到達するだけで相当大変、ということで有名なのだ。昔青春18きっぷで旅している途中、夜、特急に抜かれるために数十分この駅に止まったことを思い出す。ここに車で到達してみよう、ということにした。

道は山に分け入り、ダムを過ぎるとどんどん細くなる。また一車線だ。行き違いは確実にどちらかがバックしないといけないだろう。そんなのが5kmぐらい続いて、小さな交差点に出る。そこからさらに分岐して、細い方へ。ぐっと登り、狭路のヘアピンカーブをいくつも過ぎていくと、さらに分岐。もう看板すらない。この先に駅があるなんていわれても、誰も信じないだろう。ここで我々は道を間違え、ダートに入ってしまった。そこで線路と信号を発見。

とりあえず車から降りて、スタンドバイミー状態で駅へと向かう。ほどなくしてスイッチバックの待避線が現れた。日が暮れていく山の静寂の中で、ポイントを温める石油ヒーターがパチパチと燃える音だけがかすかにする。

駅の古いホームと、車止めが落ち葉の中、静かにたたずんでいる。もちろん誰もいない。

しかし秘境の無人駅ながら、待合室もトイレも手入れされ、生け花まで飾ってある。誰かが頻繁に来て整備している証拠だ。というわけで駅の場所は分かった。歩いてきてしまったので、車を取りに行く。そこから転回して引き返し、さっき間違えた分岐を曲がる…と、あれ、曲がり切れません。ランサーってそんなにハンドルが切れない車じゃなかった気がするんだけど、セダンの小回りではこの山道、曲がれません。ここでは軽トラで生活するしかないと思われる。切り返して駅へ到達。


↑駅前。


やー。しかし土讃線もリフレッシュ工事とかをやるので、その関係で代行バスが運転されるらしい。バスはここまではとても入ってこられないけれど、どうやら近くまでは来るもよう。なんか想像するだけでわくわくしますね。


さて、日もすっかり暮れた狭路を戻り、高速へ。一路松山を目指す。高速はこの山々を、長大なトンネル群で一気にぶち抜いていく。運転楽だねぇ。戦後の時代、この辺の山越えルートは、↑みたいな道(しかもダート)しかなくて、瀬戸内へと出るバスは時間がかかる上に、揺れとカーブの連続で阿鼻叫喚だったとか。今はみんな快適に120km/hで飛ばしていく。地方の道路整備の予算を大幅に削ってるこのごろだけど、削っちゃいけない予算もあるよな。


そんなわけで、高知の山奥から松山のレンタカー屋まで2時間もかからなかった。車を返したあとは道後温泉⇒飲み屋でビール。素晴らしい休日であった。

(続く)