上高地避暑ハイキング

高温多湿な都会を抜け出して、山に行こう。

そう思ってベッドを抜けだしたのは、6月下旬の土曜日の朝3時のことであった。(妻は学会で大阪の山中に缶詰だったのです)

起きて10分で車のエンジンを掛けて、さっと名神に乗って、あとはクリーム玄米ブランをかじりながら早朝の高速を快走していく。
今日の行き先は上高地。いつもあのへんに行くときは自転車を持って乗鞍の方に登ってしまうのだけれど、今日はハイキングにしようと思う。

自転車で行ってもいいんだけど、上高地への道中には釜トンネルっていう11%ぐらいの激坂トンネルがあるのよね。あれは精神的に楽しくないのよね。
あと上高地の楽しいところってだいたいダートなんだよね。


さて、夜が白んできたのは一宮インターを過ぎ、東海北陸道に入ったあたり。
白鳥(しろとり)の手前で日が出てきて、ひるがの高原〜飛騨清見で景色が朝日に輝いてくる。その美しいことといったら。


…あんまり上手く撮れてないけれど、北アルプスの朝日は、眠い目をこすって見に行く価値がある。


綺麗な景色の中をノー休憩で走っているうちに、7時前には平湯温泉のあかんだな駐車場に着いてしまった。

降りてみて気がついたが…

寒っ。

大阪を出た時には30℃弱あったのです。で、Tシャツ短パン、サンダルという格好で来てみたら、気温は11℃。ちょっと涼しすぎである。

慌ててウインドブレーカーを着て、ここからバスに乗り換え。

運転手が無線で話しているのが聞こえてくる。


2.5℃、了解で〜す」

え、ちょ、2.5℃? 夏至も過ぎたこの季節に? いやー、涼しいなぁ。素晴らしい避暑地ですね! 来たかいがあったというものですね!(戦慄)


バスは安房峠道路を過ぎ、トンネルの壁についてる非常口表示と路面の角度が明らかに傾いている(新)釜トンネルを通って、上高地へ入っていった。

釜トン。傾きすぎだ。

8時頃大正池のバス停に到着し、ここから歩くこととする。


朝の静謐な空気と、もやの中に濡れた緑、鳥のさえずり。

あぁ、素晴らしい。そして梓川は…増水している。あれれ。

なんかすごく水かさが増してるので、川に近寄らないよう遊歩道が封鎖されている。迂回しながら歩いて行く。

私の雨男としての経験がささやくことには、楽しい時間がまもなく終わりを告げ、昼になる前に本格的な雨が降り出し、
増水した川は自然の牙を剥き、携帯の入らない山道で私は迷うのである。今まで何度もやりました。



いや、まぁ、迷わなければいいや。どうせ降られると思って今日は傘を持ってきたし。ポジティブに行きましょう。


さっきの増水した梓川は、淡水色の清流。どこから見ても絵になる。

川のほとりで朝の読書を楽しんでいる青年もいた。

上高地は木道が多いので、雨が降っても大してぬかるまないのがよい。
緑の中の木道を歩いて行くと、高山植物が咲く野原があり、奥穂高岳とその周辺の山塊は美しい。



そして、枯れた木々が雰囲気を出している。大正時代に液性が強酸性に変わったせいで、それまであった木が一気に立ち枯れて、上高地独特の風景が形成されたのですな。


猿の群れのエリアを通過し、ノミ取り中のところを激写していると、ボスザルに威嚇された。


猿の声の中、森の奥を目指すこと2時間あまり。明神池という池に着いた。
出発前にコンビニで買ってきたおにぎりを食べて、引き返すことにする。

…と、雨が降りだした。やはりな。
もう10時近くなって、山の天気が安定している時間もそろそろ終わりそうである。
雨具に身を包んで、一生懸命登っていく人々とすれ違う。中には赤ちゃんにゴアテックスをかけて必死に雨から守りながら、奥穂高岳方面に登っていく人もいたんだけどどういうことなの!? 何を目指しているの?
(帰りは雨の中がんばって黙々と歩いたので、写真がありません)

山道が平坦で広ければ、やはり雨具より傘ですな。帰りは梓川の南側周りでバス停に到着。行きは北側を回ってきたので一周コースである。


ちょうど来たバスに乗り、平湯温泉へ下る。次から次へとやってくる観光バスと、ひたすら狭路ですれ違い続ける路線バス。時には慣れない大型バスに譲るために、100m近くもバックする。さすがプロだ、濃飛バス


あーあーあー。

山を下り、平湯で温泉に浸かったのは12時前ごろ。まだ午前中だ。早起きすごい。まだ半日あるもんね。
そして昼になったとはいえ、露天風呂は14℃で、冷たい雨が降り注ぐ。避暑地の面目躍如である。(投げやり)



そんなわけで、暑すぎる都会に疲れきったあなたも、思い切って早起きして北アルプスに向かうといいと思いますよ。(^^