偏西風の渡島半島(東側)

函館空港で自転車を組み立て、早速出発。

おっと早速廃線跡か? いや、これは戸井線の未成線(開通せずに廃止されてしまった線)跡か!

自転車は海沿いに東へ向かう。小さな港と漁村が点在する道を走っていくと、至る所で昆布を乾かしている。歩道を占領して乾かしてる輩もいる。そこらに漂う昆布臭。

しかし今日は偏西風が強い。軽く回していても、33km/hぐらい出てしまう。調子に乗って回していると、2時間で50km以上距離を稼いでいた。

函館から離れると、奇岩が連続し、トンネルが続くエリアに。広尾あたりの黄金道路を思い出しながら、海岸線を駆け抜けて行く。



…と、石ころを踏んだ。途端に失速して停車。あー…今年もパンクか。いつものこととはいえ、デブが荷物を積んで悪路を爆走するというのは、なかなかハードな使用状況だ。きれいにスネークバイトが入っている。


ついでにタイヤも交換。その間、明日の昆布漁の時間制限等について、周りに放送が流れていた。


さーて、タイヤのビードが固くてくっつかないとか、諸々あって40分もかかってしまった。
夕暮れの迫る海岸線を飛ばし、バイパスをひた走り、

駒ケ岳を右に見て、大沼へ向かう坂の途中で…日が暮れた。

街灯などもちろんない闇の中、俺様の自転車ナビは横道に逸れろという。まさか、と思って確認したが、確かに太い道路を走っていくと、目指す大沼公園に行くには遠回りだ。

ええ…


悪い予感を抱えながら進むこと数km、予感は現実となった。道は未舗装路になって、闇の奥へと消えている。

周りは原生林。もう100km近く走っている身、数km戻ってあえて遠回りするのも嫌だ。仕方ない、ダートを歩いて行くか…乗車してまたパンクしたら嫌だし。


森の一本道は、かなり怖い。あまりに真っ暗で、たまに茂みがゴソゴソいう。それ以外は私の足音と、鳥の声と、水音しかしない。何かあっても確実に誰も助けてくれないだろう。34歳にして肝試しとは。

SPD-SLで山歩きするのはもう何度目か。またクリートが減っちゃうな、と一人考えながらてくてく歩いていると、鉄道の走る音が聞こえた。駅は、人里は近い(ナビ見れば分かるけどね)。珍しく対向車が来たと思ったら、不安そうな大学生で、道を聞かれた。無理もない。


そうするうちに、駅(銚子口)のあたりで道は舗装道にもどった。
人工の光だ。

あとは6km、闇の中を走るだけ。まあ、舗装されてれば文句はない。


今日目指すのは、大沼公園の老人ホームがやってる「野畔(あぜ)の花」の日帰り入浴施設だ。着いてみるとそこは真っ暗な老人ホーム。あれれ。職員に聞くと、とっくに日帰り入浴は、やめたという。しょんぼりだ。


この辺は、飯やがあってもコンビニがない。夕飯の調達すらままならない。隣の大沼駅までさらに走り、セブンイレブンでおにぎりとサッポロクラシック。こんなときおにぎりを暖めてくれる北海道はいいな。

大沼駅

さて、今日は一旦函館市街に戻る。シルバーウィークの予約合戦に出遅れた結果、大沼周辺は高い宿以外空いてなかったのである。



無人大沼駅で飲んだくれながら1時間待つと、函館ゆきキハ40単行がきた。この辺のJRも、新幹線ができれば激変するのだろう。渡島大野駅も大改装中で、立派な新幹線駅になろうとしていた。来年からいろいろ変わってしまう前に、今年来られてよかった。

さて、明日は渡島半島を横断して西に出る。ちょっと長距離だが、頑張ろう。


最後にホテルの近くで炙り牡蠣を食べた。こんなに牡蠣ってプリプリなのか、という驚き。