静岡の冒険(2)〜アルファで井川雨畑林道走破編

大井川源流。私の大好きな山の一つである。もう来るのは5回目になるのかな。
初めて行って滑って転んだ寸又峡温泉、免許取立てのHuck氏達と狭隘路を畑薙ダムまで分け入った日、
ひとりでなんとなくSL&トロッコに乗って井川までやってきた台風の休日。そして11月の大混雑の中やはり狭隘路に閉口しながら、夜たどり着いた接阻峡温泉。
どれも忘れられない。

さて、今日は静岡市の北の井川湖から、さらに北へ抜け山梨県へとつながる「井川雨畑林道」を走破してみようと思う。
同行者は前の記事に引き続きYukikaze氏。
いい天気だぜ。


いや、数年前に舗装されたというWikipediaの記事を読んで以来狙っていたのだよ。自転車でもいいと思っていたが、かなり無補給の山岳区間が長いので自動車で。
結果的にはアルファで行ったのがが正解だった…というかまぁ、不正解でしたな。自転車で行ったら激しく不正解、アルファでも不正解。というかこれは舗装っていうのか?

そんな珍道中が始まります。

「井川までは適当に狭隘路を運転するだけで着いた。」
うん。あの林道を走ったあとだと、井川までの40km以上の道をこう一行で書ける。
運転に不慣れだった頃、対向車を恐れながら、また出会って悲鳴をあげながらバックをしつつすれ違ったあの道も今では、プロローグになってしまった。


本題に入る前に井川ダムでトイレ休憩。なんとウォシュレットになっていた。そして最近ごくごく一部で隠れた人気の「ダムカード」も初ゲットだぜ。

ダムカード

さあ冒険の始まり。井川からまず、井川大橋という名の吊り橋を渡って対岸に行く。幅員2.5mのクルマまでなら渡れる大吊橋だ。

入り口。

吊り橋を車で渡る。はらはら。

生まれつきの雨男ゆえ、晴れた井川ダムがこれほど美しいとは知らなかった。

対岸の道路へ回転半径ギリギリで曲がると、ここから井川雨畑林道への合流までは狭い急坂の林道だ。ところどころダートである。

あ。倒木だ。

大きな石が落ちていたりする。そのたび降りてはどかし、運転再開する。

以前奥多摩の落石でオイルパンを損傷してからというもの、そこはしっかりやるのだ。
なんか、雪の中国山地で乗った鉄道(三江線)を思い出す。あのときは雪で垂れ下がった竹をどけていたっけ。

15 %を超えようという斜度がたびたび登場する。さらに通行止めが一箇所あり、別の林道で山越えをして迂回。やれやれ。
ガードレールがあればよし、落石や積雪で壮絶に曲がっていたり、なかったり、そんなんばっかし。
そして落石に続き、

道が川になっている!!!

対向車のジムニーは難なく渡っていったがこちらはなんかもう必死である。


そして本題の林道に合流。あまりに長丁場かつ、落石が多くて進まないので、適当におやつなど食べつつ、降りては石をどかして走っていく。
たまに素に戻ると「オレ、何やってるんだろ…」とか思って切ないので、

…と。
今度は大きな川だっ。

うわぁ…

素に戻る暇すらない。というかこの川、山の上から道を流れ落ちてきている。

ジャバ! ズザザザ! ゴン! ガリッ! ジョバー!! ガリッ!

とひどい音を立てながら前進する愛車。ああ、水をかき分けつつ下回りとバンパーをこすっているのね…
そして、そこで対向車が来ちゃうという。あーあー。この状況ですれ違うんですか?

すると、対向車から女性が降りてくる。なんと、Yukikaze氏の同僚だというではないか!
いや、なんなんですか君たちは。こんな南アルプスの標高2000mの山奥を、同じ休日に普通乗用車で走破しながら、川渡りの真ん中で偶然遭遇って。
足をびしょびしょに濡らしながら笑顔で「こんにちは〜。いやーこの先も長いですよぉ」とかあいさつしてる人々。
まったく類は友を呼ぶっていうか!!

…わたくしもですか。そうですか。

そんな冒険は延々と続く。終わりがないかと思われるような一車線路を10kmぐらい進むと、あたりが白くなってきた。うは。落石の上に霧と来たもんだ。

慎重に、ごく慎重に走っていくと道が開けた。そこは山伏峠。静岡と山梨の県境、大井川と富士川分水嶺である。

ここから人里まで、まだ30km以上ある。時速20km程度しか出せない上に、たまに岩をどけているので、時間がかかる。たまにヘビやサルが通りすぎたりして、心がなごむ。
山梨側も大概だが、静岡側のひどさと比べればこれは「舗装路」を名乗ってもいいかと思う。

走って走ってまだ走って、2車線の県道に出た頃には振動で背中が痛くなっていた。

そこからの県道と国道バイパスの走りやすかったことといったら!
アスファルト舗装ってすごい! 時速30km以上出してるのに、がったんがったん揺れたりしないんだぜ。

そのあとも100km運転してまず静岡に戻ってYukikaze氏をおろし、しかもそこから渋滞の東名を滋賀まで300km以上運転して帰るという苦行があったのだが、(結局14時間半走ってた)
それはまぁ、林道のプライスレスな経験に比べればどうでもよい話だ。


というわけで。楽しい林道ドライブ、みなさんもいかがでしょうか。
色々書いたけど、ジムニーやオフロードバイクじゃないと行けないようなガチな山でもないですからね。(ぇー
ただし、車幅間隔のない人、自分の車のオイルパンがどこにあるか知らない人、新車の人は行かないように。単独行もオススメしません。

これから紅葉シーズン、綺麗だろうなぁ。

↓なんかいろいろ途方にくれながら撮った写真。