沖縄乗り倒し紀行(2) 模範的オープンカー?

※今回はオープンカーに抵抗のある妻に怯えながらドライブしたので、恐妻家気味な話になっております。


さて、ハマーH2から乗り換えた車はフォルクスワーゲン ニュービートルカブリオレである。

言わずと知れた名車、フォルクスワーゲン ビートルの2代目(現行はザ・ビートルで3代目)のオープンモデルだ。オープンは男のロマン。いつかは所有してみたいものだ。


いきなり話題がそれるけど、いくら馬車の頃からの伝統だからといって、スタイリッシュなオープンカーに「スパイダー」とつけるメーカーは、買う客のことを考えてほしい。フェラーリ458スパイダー、とか、アルファ・スパイダーとか、ポルシェ918スパイダーとか。綴りはSpider、Spyderとあるけれど、まぁ普通の人が見たらクモじゃないですか。うちの妻のように、大のクモ嫌いの家族がいたら、そんな名前の車を買わせてくれるとはとても思えない。


例えば「トヨタ86 コックローチ(=ゴキブリ)」というグレードの超カッコイイ車が出たとして、リアにもカッコよく銀のエンブレムで「Cockroach」とか入ってるとして、そんなのを家族が買おうとしたら止めようと思うじゃないですか。いや、コックローチっぽさではランボルギーニ アヴェンタドールの方がお似合いかしらん。アバルトのサソリがギリギリよねぇ?
ともかくオープンカーのグレードの名前は無難にロードスターコンバーチブルがいいと思います!


その点、こちらの車は4人乗りのカブリオレだ。問題ないかと思いきや、今度は車がビートルである。ああ、これも虫だ。もしも2人乗りでビートルスパイダーだったら、なんかすごい絵面になりそうな。


レンタカー屋で妻を見やると、「ビートル可愛い♪」とご満悦だ。スパイダーはダメでビートルはいいのか? どのみち蟲じゃないのか? 難しいものです。



名前の話は置いといて、店員が言うことには、
「すみません、リア左側のパワーウインドウが壊れていて、落っこちたまま上がってこなくなったので、とりあえず固定してあるんです。料金割り引くのでご了承下さい」

ああ…なるほど…。同僚にビートル乗りがいてよく聞いているので、驚きはしない。
ウインドウが落っこちるのはビートルの持病みたいなものだと。まぁ、構いませんよ。


乗りこんで思ったのは、この車は極力、何も失わずに空の広さと爽快さを手に入れられる、優れたオープンカーだということ。私の知るオープンカーの多くは、積載性とか(重要!)、定員とか、快適性とか、後方視界とか、を少なからず犠牲にし、雨漏りしたり室内がきしんだりしても、目をつぶって愛のパワーで乗る車であったが、ニュービートルカブリオレはほとんど何も犠牲にしてないのがすごい。


確かにトランクは狭いけど、そこは4人乗り。全席乗車しなければ、後部座席にスーツケースが簡単に積める。まともに旅行に使えるオープンカーは数少ないんじゃないだろうか。他にも4人乗りのオープンカーは、ボルボBMWをはじめいくつも出ているが、ビートルよりどれも高い。ニュービートルカブリオレの後方視界は屋根をたたむと若干悪化するけれど、3枚のミラーを合わせれば見えなくなるわけじゃない。よしよし。

また国道を運転し、今度は東海岸を北上する。(途中倉敷ダムでダムカードもゲット)


ビートルは決して速くはない。トルクも馬力も2000ccの割には「こんなもんか?」って感じだし、その割に燃費は10km/Lいかなかったりして、エンジンは正直微妙。
だが、妻は運転しながら「堅実に仕事してるって感じで好きよ。アルファの(ツインスパークエンジン)は高回転で回すといじめてるみたいになっちゃうのが苦手」とのことだ。もともとゴルフのエンジンだし、まぁいつものピーキーなラテン車よりは安定して思えるかもしれませんな。でもあのツインスパークエンジンは名機なんだよ〜。高回転で回すのが楽しいんだよ〜……


6速オートマのミッションは、エンジンブレーキ強めで、アクセルを緩めてもぽんぽんシフトアップするわけではないところが、普通のトルクコンバーターとは味付けが違う感じである。

ともかく、沖縄の風を感じて旅をするのに、どうしてそこまで卓越した運動性能が要るものか。これが必要十分だとも思える。すべての性能のバランスが良い。

那覇から北上し、海岸をドライブして、海中道路へ。海の間を爽快にオープンエアドライブ! と思ったはいいが、折しも干潮であった。干潟オープンエアドライブである。残念!

平安座島浜比嘉島伊計島は全て本土から長い橋がつながった離島。平安座島の圧倒的な石油基地を抜ければ、さとうきび畑が広がる素朴な伊計島はその先だ。

伊計島浜比嘉島には米兵とファミリーが泳ぎに来ていたりして、たまに道端に止めた"Y"ナンバーの車の横で米兵が水着に着替えている真っ最中であったりして油断ならない。まったく。米兵はまったく。

米兵はこの手前にいました。

これは浜比嘉島


今日の宿は浜比嘉島にとってある。
オーシャンビュー。

島のビーチで(刺青を入れた米兵と)ひと泳ぎして、夕暮れの海岸をドライブして沖縄料理屋へ。ノンアルコールで一杯やった帰りの海中道路は、今度は満潮であった。


車を止めて空を見あげれば満天の星空。有名な星座はともかく、「へびつかい座」とかまで星がはっきり見えるのに感動していると、流れ星が見つけたと妻が言う。ペルセウス座流星群か。しまった、へびつかい座を見てて見逃した!


翌日も古宇利島とか、名護の先の半島とか、沖縄自動車道とかをドライブして那覇に戻ったのであった。

↓これは古宇利島。ここも長くて素敵な橋ができて、陸続きになった。

妻の反応は、春の京都でコペンに乗って花見をした時とは打って変わって良好であった。
自分でハンドルを握っても終始楽しそう。潮風で髪がごわごわになっても、いつもより多めに日焼け止めを塗らなければならない陽射しにも、文句が出なかったのは予想外であった。
リゾートがそうさせたのか、京都のような都市部で屋根を開けるということへの精神的抵抗と沖縄が無縁だったせいか。それともコペンではご不満か!(笑)

というわけで、ビートルのカブリオレは実用性と楽しさを両立してとてもよいことが分かりました。
次回は、打って変わってCO2排出量の少ない乗り物に乗った話です。トライク大好きな方におすすめ(?)なアレです。(続く)