サハリンから日本へ

朝チェックアウトして、また自転車を走らせ空港へ向かう。途中スーパーで、残りのルーブルを使って買い物。

キリル文字でスーパーマーケット、と書いてある。

キャビアの缶詰でもないかなー、と思ったのだが、キャビアと書いてある缶詰は「鮭のキャビア(そりゃイクラだよ)」「キャビアとなんかの肝臓の和えたもの(何の肝臓だよ!?)」とかそんなのばっかりで、いわゆるキャビアが見当たらない。なので、お菓子を主体にいろいろ買ってバッグに詰めた。


ここが空港の最寄り駅、ホムトヴォ駅。すごいですねぇ。
みんなバスを使うからわざわざ乗る人もいないけれど。ここから、セキュリティーゲートのあるユジノサハリンスク駅に向かうのだからすごいよね。(しつこい)


ここがユジノサハリンスク空港。ポケストップである。


ユジノサハリンスク空港からの出発は、結構難しい。出発カウンター、というか公民館の窓口みたいなところに順番に並ぶのだが、もたもたしているとどんどん割り込まれる。どの列に並べばいいのかよくわからないが、まぁチェックインは出来た。


しかし次の保安検査場にいつ入っていいのかよくわからない。なぜか1時間以上あとに出るモスクワ行きが先に手続き開始になったりして気をもむ。英語のアナウンスなんてないのだ。英語のアナウンスがある空港はWikipediaで特記されてしまうほどに、ロシアの空港はロシア語しか通じない。

まぁ、周りのロシア人もあまりわかっていないようで、「え、これウラジオストクゆき? ノヴォシビルスク行き? 択捉島行き? どうなの? わかんないなぁ」とお互い確認しながら保安検査場を通過。飛行機に乗り込む。

今回はウラジオストクゆきアエロフロート。そこからソウルゆきアエロフロートに乗り継ぎ、ソウルからピーチ・アビエーション関空に帰ってくる、という3便乗り継ぎだ。これがサハリンで一番ゆっくりできて、一番安いコースなのだ。

乗った飛行機は小型のエアバスA319、ジェット機だ。千歳からの便よりマシじゃないか。
窓の外は一面の緑。農地も街も全然見えない。たまーに高圧鉄塔が見えたりするが。ロシア、リアルになにもないなあ。
しかし隣のロシアの若者はひどかった。とにかく落ち着きがなく、肘掛けを占領するのみならず、もぞもぞもぞもぞ動いては、1分ごとに俺様の脇腹に肘をヒットさせてくる。そして貧乏ゆすりして俺様に膝をヒットさせてくる。邪魔だこのやろう、と応戦するがまったく気に留めている様子もなし。
さらに飛行機が最終着陸態勢に入ったところで、反対側の隣りに座っていた若者と一緒におもむろにテーブルを出してきて、17インチノートパソコンを取り出し、ディズニー映画をスピーカーで上映開始し始めて(ロシアってヘッドホンないのか??)客室乗務員に怒られている。怒られたあとは窓際の私の席の前まで身を乗り出してきて、一生懸命に外を見ている。鼻息が私の顔にかかってきてもう、いつでもキスできそうである(男ですが)。嫌がらせにキスしてやろうかこの野郎。で、地上に近づくと携帯でさっそく電話を始め「あーやっと電波入ったわー」とか言ってるもよう。機内のマナーとしては数え役満である。

ウラジオストクで乗り継ぎだが、郊外にある空港なので、周りは全然何もない。
Transferと書いてある案内に従って空港内を歩いて行くと、電気の消えた階段につながっていて、あきらかにその先何もない。
仕方ないから一旦到着ロビーに出て、係員に「○○便に乗り継ぎたいんですがここでよかったですか?」と英語で聞くと、
「はぁ〜?わかんないなぁ」みたいなロシア語が返って来てどうしようもないので、諦めて歩き始めると今度は屈強なおっさんの集団に囲まれる。

「タクシー」「タクシー」「タクシー」とだけ連呼する白タクの運転手である。振り払ってもう一度出発ロビーへ。

急いでセキュリティーチェックを受けたが、ここの係員は片言で「コンニチハ」と言ってくれて感動した。


閑散とした国際線待合室では、おみやげの売店が開いている。店員が二人で「カチューシャ」を口ずさんでいて、なんかロシア的。おみやげはTシャツが多いのだな。柄は
「我らが偉大なるリーダー、ウラジーミル・プーチン
「AK-47カラシニコフ(アサルトライフルね)」
「T-90(戦車ね)」
「ミグなんたら(戦闘機ね)」
……軍事系しかない…

向かいの免税店には、「私たちは世界平和を願っています」という英語の銘板がはめ込んである。嘘つけ!!


さて、ここからソウルもアエロフロート。オーロラ航空が運行するコードシェア便だが、ちょっとした機内食が出る。
さっきのユジノサハリンスクウラジオストクは、厚手のスモークサーモンが入ったサンドイッチ。
今回のウラジオストク→ソウルは、厚手のハムが入ったサンドイッチ。どっちも具がすごく美味しい。
隣の席は韓国人の若い女性で、入国書類を書こうとしていたら、
「あ、筆記用具使います? このペン(Uni)、日本製なんですよー、えへへ」
と英語でペンを貸してくれた。さっきまでとの落差に、韓国好きになりそうだ。


ソウルは、アクアラインみたいな海中道路が縦横に走る中へ着陸していく。奥には摩天楼が見えていて、韓国すごいな。
成田かそれ以上くらいに半端無く大きな仁川国際空港の空港施設だが、すべての看板に英語も日本語も併記してあるし、たいがい日本語通じるし、ダメでも英語は確実に通じるし、ものすごく安心する。今まで全く何も通じないロシア人を相手にしていただけに、この安堵感は半端ない。


この洗練された空港!


乗り継ぎ先のピーチ・アビエーションは。
「自転車は手荷物1個の料金では運べません、6600円追加です(もともと13000円なのに…)」
「飛行機が1時間以上遅れてます」
「ていうか韓国にサイクリングできるところなんて有りました?」←別にきかなくていいって!!w
とかのたまっていて、なんかこう、アレですね。安いとこうなるんでしょうか。
前回もなんかの追加料金取られたし、冷房のないところで延々待たされたし、空港職員の社会の窓は全開だったし。

ANAで済むところはANAにしとくのが一番だなあ。
空いた時間でユッケジャンスープを頂いて、韓国のりを買って帰りましたとさ。

辛いものが好きな割にすぐ腹をこわす私だけど、これは美味かったし、腹も無事だった。

飛行機遅れのせいで、関空から帰宅したのは朝の1:40。寝たのは3:30。6:30に起きて、8時に出社して。
「いいから働け! もっと働け! お盆も働け! 吐くまで働け!」
と偉い人にさんざん怒られ、なんか一気に現実に戻ってきちゃいましたねー。帰ったのは23時。吐きそう。


それでも、形はどうあれ来年も北のツーリングには行きたい。サハリンは、今回満足したからいいや。
北海道のグルメとか、知り合いの宿主さんとの再会か、楽しみつつゆるりと回りたいかな。
中標津に行ってランチウェイを散歩するのもいいな。