北海道プリウスドライブ(0-2)

そんな平和なドライブを終えたあと、小樽へ。宿泊先は某とほ宿であった。
行ってみると、町の中にある小さな3階建ての建物である。道が狭すぎる上に坂道のクランクみたいなところで、車庫入れが超絶むずかしい。

宿らしい外装には見えず、扉を押して中にはいると下駄箱があり、薬を出すような小さな窓口が…

薬? そう。どう見ても病院なのだ。よく見ると目隠しのついたてとか、金属製のコップとか、いろいろ残ってるし。
黒い服の女性が一人でやっていて、宿の出自を確認すると

「なんだと思います? ふふふ…」

私「……病院ですか?」

「そうなんですよ、小児科病棟だったんです。ずいぶん前に廃業したんですけどね、ふふ…」

といいながら町のおいしい寿司屋を紹介してくれる。いい人なんだが、いい意味でも悪い意味でもこの宿の雰囲気にぴったし。
ていうか、どう見ても最近まで病院だったとしか思えないリアリティである。

明らかに病室、という宿泊室に同行者は震え上がってしまってトイレにも行けない状態に。天井を見上げると消えない子供の手形が…嫌ぁああー!


まぁ、そんなリアルなアトラクションっぽい宿。オススメなので皆さん行ってみるとイイでしょう。


翌日は最終日。東京へひた走る。積丹半島からオロロンラインを経由し、函館。また船で青森へ。
青森の三内温泉は硫黄分のものすごく強い、薬効たっぷりの温泉だ。ここほど温浴効果の強い温泉は、他で見たことがない。何しろ蛇口から何から、金属性のものは全て侵されて真っ黒な硫化物になっているぐらいだった。すぐにのぼせちゃうけど、ここも非常にオススメ。


そこからの夜のドライブが非常に辛かった。3日間ずっと遊んだあとの徹夜ドライブ。温泉のあとですごく眠い。しかもあいにくの雨。「石巻」「気仙沼」「大船渡」…そんな鮮魚トラックが朝の築地市場に間に合うべく、必死に疾走している。彼らは時間制限があり、生活がかかっているから実に必死である。あおられたら道を譲らないといけない。

最後は全く集中力が持たないので、余力の残っている3人で50kmごとに交替しつつどうにか都内に到着。一日で1000kmは実にきついですな。5時過ぎに私が最後に家に帰ってきたときには、もはやまともな判断力は残っていなかった。なんか早稲田通りと新青梅街道の交差点を、ナチュラルに信号無視した気がするんだよね…


で、ここだけの話だが、その日の朝、私を除いてチームプリウスの皆さんは全員研究室に来ませんでした。死んでたもよう。みんな修行が足りないぞ。


ま、そんな旅行だったわけだけれど、終わってみると非常に楽しかった。来年も行こうね、と誓って卒業してきた。
そこで、今年も実行したわけである。でも、今度はさすがに衝動でクリックしたわけではない。参加者の社会人率も上がった今、行き帰り飛行機でもいいや。もう一度あれはやりたくない。現地でレンタカー。でもプリウスは死守。何しろチームプリウスだからね。

そんな、ちょっと角の丸くなった(チキンとも言うかも知れないが!)北海道ドライブが今年も始まったのだった。(続く)